餌場スクリーニングを実際に回してみた|17,257プールを643件まで絞った記録と、手順の穴

前回、餌場スクリーニングの手順を書きました。手順を書いておいて自分で回さないのは格好がつかないので、実際に回しました。

資金は1円も動かしていません。机上でどこまで分かって、どこから先が分からないのかを確かめるのが目的です。結果として、自分が書いた手順に穴が見つかりました。そこも含めて全部出します。

データは2026年9月7日時点、DefiLlama の公開APIから取得したものです。

母数は 17,257 プール

この日の時点で、DefiLlama が追跡していたプールは 17,257件ありました。ここから絞っていきます。

第1段:TVLで足切り(→ 2,728件)

TVL(そのプールに預けられている総額)が100万ドル未満のものを落としました。残り 2,728件

小さすぎるプールは、自分が入っただけで利回りが動きますし、出るときに抜けられません。少額でやるなら安全側に倒しておくべきところです。

第2段:表示APYを分解する

ここが前回いちばん強調した部分です。実際に表示APYが高い順に並べたら、想像以上でした。

プール チェーン 表示APY 実質(Base) インセンティブ(Reward)
USDC-VELVET(aerodrome) Base 130,884% 1.6% 130,882%
WETH-CBBTC(aerodrome) Base 2,938% 76.1% 2,862%
ZBU(zeebu) BSC 1,107% 0.0% 1,107%
WETH-USDC(aerodrome) Base 273% 93.8% 179%

1行目を見てください。表示APY 130,884% のうち、そのプールが実際に稼いでいるのは 1.6% だけです。残りは全部インセンティブトークンの配布。配布が終われば1.6%に戻りますし、配られるトークンの価格が下がれば受取額もそのまま下がります。

3行目の ZBU に至っては実質 0.0% です。手数料をまったく生んでいないプールに、年率1,107%相当のトークンが配られている状態。

この段階で、インセンティブが表示APYの50%以上を占めるものを落としました。残り 1,207件

第3段:ここで手順の穴に気づいた

前回の記事では「Reward を剥がして Intrinsic だけで比較しろ」と書きました。これだけでは足りませんでした。

インセンティブ比率で絞ったあとのリストに、こういうものが残っていたからです。

プール チェーン 表示APY 実質(Base) インセンティブ
ZEC-ZCAT(raydium) Solana 4,207% 4,207% 0%
SOL-STONK(orca) Solana 4,104% 4,104% 0%
WETH-STONKEX(uniswap v3) Base 2,162% 2,162% 0%

インセンティブ比率0%。つまり全部が「実質の手数料収入」です。前回の基準ではこれが最優良候補として残ってしまいます。

でも年率4,207%の手数料収入が続くわけがありません。これは薄いプールに一時的な出来高が集中しただけです。銘柄名を見れば分かる通り、いずれもミーム系のペアで、しかも全部 IL(インパーマネントロス)ありの組み合わせです。

インセンティブが0%でも罠はある。実質APYもまた、一過性の出来高で跳ね上がる。

前回の手順は、ここを「30d Stability を見る」の1行で済ませていました。実際に回してみると、この工程は Reward の分解と同じかそれ以上に重要です。順番としても、分解より先に「その数字は何日続いているか」を見たほうが早く絞れます。手順を修正します。

第4段:チェーンで絞る(→ 643件)

少額でやる場合、Ethereum メインネットは選択肢から外れます。ポジションの出し入れやレンジ調整のたびにガス代がかかり、$1000規模だと利益を食い尽くすからです。

Ethereum 以外に限定して、残り 643件。ここまでが机上の一次スクリーニングです。

残った候補を1000ドルで皮算用してみる

条件(TVL $1M以上・IL無し・インセンティブ比率50%未満・非Ethereum)を通過したもののうち、実質APYが高い順に並べるとこうなりました。

プール チェーン 実質APY TVL 30日間のAPY変化
USDCHF-USDC(gmtrade) Solana 78.6% $1.6M +9.6
USDCAD-USDC(gmtrade) Solana 39.0% $2.4M +5.2
USDC(harvest-finance) Base 20.3% $1.8M +9.8
USDC(neutral-trade) Solana 18.9% $2.3M −28.2

最後の行に注目してください。実質18.9%と悪くない数字ですが、30日間でAPYが28ポイント下がっています。つまり1ヶ月前は47%近くあったものが、今は18.9%まで落ちてきている最中です。今の数字だけ見て入ると、来月にはさらに下がっている可能性が高い。

逆に上の3つは30日間でプラス方向に動いています。少なくとも急落中ではありません。

仮に一番上(実質78.6%)に $1000(15万円換算)を30日入れたとすると、単純計算で約9,700円。Solana なのでガス代はほぼ無視できる水準です。

前の記事で計算した、BTCのファンディングレートで同額を回した場合の月約550円と比べると、桁が違います。

机上で分かるのはここまで

ここから先は計算では出ません。

  • 78.6%が来月も続くのか。このプールの収益源は為替ペアの取引相手方になることなので、相場次第で普通にマイナスに振れます
  • 実際に入って出るときのコスト。スリッページと往復の手数料は、入ってみないと正確には分かりません
  • そのプロトコル自体が安全か。DefiLlama は自サイトに「監査も推奨もしていない、データを提供しているだけ」と明記しています。リスト入りは安全性の保証ではありません

なので次は小さく入れて実測します。いきなり$1000は入れません。まず最小額で入れて出して、往復コストを測るところからです。その結果はまた記録として出します。

修正した手順

今回回してみて、前回の手順を並べ替えました。

  1. TVLで足切り — 小さすぎるプールを最初に落とす
  2. 継続性を先に見る — 30日間の変化とStability。ここを2番目に上げました
  3. 表示APYを分解 — Reward を剥がして実質だけで比較
  4. チェーンで絞る — 少額ならガス代の安いチェーン
  5. 引き算 — 実効APRの式に通す
  6. 最小額で実測 — 往復コストを測る。ここからが本番

1〜5は資金ゼロでできます。今回かかったのは、APIを叩いて絞り込むだけの作業でした。

本記事の数値は2026年9月7日時点で DefiLlama の公開APIから取得したスナップショットです。利回りは常時変動するため、同じ条件で回しても同じ結果にはなりません。掲載したプール名は「この日のスクリーニングで残ったもの」であり、推奨ではありません。本サイトは投資助言をおこなうものではありません。DeFiには元本を失うリスク、スマートコントラクトのリスク、インパーマネントロスのリスクがあります。

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